一、十四時二十七分三十一秒の第参七有能児童育成場
落書き帳に敷いた線路はまるで僕の夢見る世界へと続いているかのように長い。
トンネルがある。その先は暗くて何も見えない。
それは僕のお気に入りのクレヨンの黒そのもの。
小さな手で自分の中指よりも
大きく長いマイクレ(僕のクレヨンの省略)を握っていた。
次は海と陸の境界線。その線から顔を覗かせる真っ赤な太陽。
自分的にはただ其処に太陽がいる風景しか見たことが無いから
描いているので朝陽か夕陽かと聞かれると戸惑うことになる。
まぁ、そんなことを聞いてくる人間という人間はココにはいない。
第参七有能児童育成場には僕以外誰もいない。
他の奴等は使えないからと池永(施設の最高責任者)に言われ
ここから出て行ったが・・・。
中野さんに出て行った次の日の新聞を借りて読んだところ
『第参七有能児童育成場にて自殺者が続出』などという見出しが目に付いた。
読まずとも何が書かれているかなど言うまでも無い。
どうせ、施設での生活に耐えられなくなった児童が集団自殺を行っているとでも書いているのだろうが実際は施設関係者が影で殺しているのだろう。
殺す奴も殺す奴だが命令する奴も命令する奴だ。
人間という人間がこの施設にいないと普通に思ってしまう。
多分どんな子供や大人だってここに産まれたときからいれば思うだろう。
三年前、僕は母親に亮二と名づけられた。
生まれたばかりの僕を母親は抱きもせずにこの施設に引き渡した。
多額の金と引き換えに。
そして僕はここで暮らすことになった。
何故だか知らないが僕は他の子供とは違う才能を持っているらしい。
知ったことか。僕はそんな才能のせいでここにいるのか。
なら、僕ごとその才能消してやる。そう思ったこともあった。
今じゃ僕はここでの生活になれ、
施設関係者から新聞借りられるほどに仲良くなった。僕の才能で。
一ヶ月前。僕は自分の才能に気づいた。
自分を恐ろしく感じたがそれ以上にうれしかった。
僕は洗脳術というものが使えたのだ。人の心を自由に操る。
なんとも夢の様な話だが僕はその能力でまず施設関係者を洗脳した。
中野さんと小林さん、更には施設責任者の町田さんまでも。
最後に最高責任者の池永を洗脳すれば僕は自由に成れる。
だが、それが難しい。あいつはずっと部屋から出てこない。
この三年間一度も。会ったのは一度。
母親から生れ落ちた瞬間。
あいつがニヤッと銀歯剥き出しで僕の方を見ていたとき。
別にあいつに怨みは無い。ただ、僕は自由に成りたいだけだ。
しいて言うなら母親。けど母親のこともそれほど怨んではいない。
別にもうどうでもいいし他人としか思っていない。
トントン。僕の部屋を叩く音。
毎日三回は必ず来る。今回で二回目。
「第参七有能児童育成場の施設職員第四十一番名前は中野武。入ります。」
「いいよ。中野さん。」
ガチャ。僕の部屋のドアを開ける音。
「今何時なの中野さん。僕知りたいんですけど教えてくれない。」
「十四時二十七分三十一秒です。他に知りたいことなどありますか。」
「昼ごはんまだなの。子供だったら泣いているのが普通だよ。だから早く。」
わかりましたと言って数分後にマクドナルドというところの
ハンバーガーというものを持って中野さんは部屋に入ってきた。
それを僕にくれた。
「ありがと。」
「いえいえ。」
これが最高におもしろい。
命令すれば何でもしてくれる。
楽園のようだ。・・・とは言えない。
三年間もここにいるとやはり自由度が無いことに気付く。
普通の子供なら気付かないかもしれないが僕なら気づく。
実はいうのを忘れていたが才能を持つものは知能も優れているようで
僕は三歳という年齢でありながら東大合格クラスの思考力を持っているらしい。
東大が何なのかは良く分からんが。
「中野さん。これうまいよ。また買ってきてね。」
「はい。わかりました。」
そして三十分後。僕は昼飯を済ました。
同時に中野さんも部屋から出て行った。
また一人ぼっちになった。はやく自由に成りたい。
その為にも池永を潰すしかない。
考えていても意味が無い。今夜実行するしかない。
中野さんと小林さんと町田さんを仲間に率いてあいつの部屋に乗り込むとしよう。
「今夜だ。トンネルの向こう側に、
見たこともない太陽を見る為に。池永の部屋に乗り込む。」
そして数時間後。
何時か分からないが部屋の電灯が消えた。
実行だ。
(コメント)訳の分からん話だ・・・。


